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11 November 2004 |
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■Archive / 戯曲集●Scripts of Jikando / 時間堂公演戯曲集「月並みなはなし」 黒澤世莉女性5人 男性4人 90分 時間堂上演時の情報へ。 一幕一景 九〇分 登場人物 九人 男四人 女五人 イシヤマススム 男 三一歳 フリーター。ユリコの夫。 コスギコウドウ 男 三五歳 軌道衛星会社勤務。モリの恋人。 タカハラアマネ 女 二三歳 パン屋。 オノデラキリン 女 二五歳 デパート勤務。 ショウジユリコ 女 二七歳 金融会社勤務。ススムの妻。 カンバラユキチ 男 二五歳 大学院生。 註:右六人は「月面都市一般移民一次募集」応募者、某グループのメンバー。 セガワハナロウ 男 二八歳 月面開発機構職員。ミミの兄。 セガワミミ 女 二一歳 学生。ハナロウの妹。 オオバヤシモリ 女 二六歳 金融会社勤務。コウドウの恋人。 時代 二一世紀前半。宇宙にひとが住み始めたころ。 時間 一〇月。日曜日。一三時。 場所 日本。東京。いくつかの広い個室のあるレストラン、その一室。大きなテーブルとイス、片隅にソファーと観葉植物、壁面には宇宙の写真。テラスには灰皿があり喫煙ができる。 註:¥→そのときレストランに出ている人物 ¥▲→そのときテラスに出ている人物 ▲→テラスの人物の言葉 ()は、行動やセリフの意味の補足 開演前。セガワミミ、入場。落ち着かない様子。三分後退場。二分後、レストランから借りてきたらしい、おもちゃをもって入場。電話ボックスにスポンジの人形を詰めて遊ぶ。飽きる。五分後退場。 一分後、ショウジユリコ、入場。しばらくして、おもちゃで遊びはじめる。 四分後、イシヤマススム、入場。 ¥ユリコ、ススム ユリコ ひさしぶり。 ススム よ。 間。 ユリコ 仲いいよね、うちのグループ。 ススム ああ、なんで。 ユリコ よそでもやるかな、残念会とか。 ススム どうかな。やらないんじゃない。 ユリコ なんか、こういう風になるとは思わなかったね。 ススム こういうって。 ユリコ 二人っきりていうか。 ススム ああ、ああ。 間。 ススム ね。 ユリコ おもしろいね。 ススム ううん。 ユリコ おもしろいよ。笑って。 ススム 笑ってるよ。 ユリコ ススムくん、もっといい顔で笑う。 間。 ススム (無理して笑って)こう。 ユリコ おもしろい。 間。 ススム (時計を見て)そろそろ。 ユリコ みんな元気かな。 ススム 元気だよ。 ユリコ ほんとにぃ。そう思ってないでしょ。 ススム そりゃ、やっぱ、ちょっとブルーじゃない。 ユリコ ね。落ちるなんて思ってないもんね。 ススム ぼくは、でも。やっぱり思ってなかった。 ユリコ ね。あんなススムくん初めて見たよ、試験中の。 ススム 別に、そんなに、違わないでしょ。 ユリコ あのね、バームクーヘン。 ススム ごめん、なに。 ユリコ 自分で考えて。 ススム バームクーヘンバームクーヘン、むける。芯がない。丸い。タイヤ。 ユリコ ねえ。ススムくん、やっぱり月に行きたい? ススム どうだろ。 ユリコ お金貯めてさ、行こうよ。新婚旅行。 ススム 何年かかるかな。 ユリコ うーん、すぐってわけにはね、でも五年もすればだいぶ安くなるよ。 ススム 就職できるかな。 ユリコ いやそうだね。 ススム いやじゃないよ。 ユリコ いやって言えば。 ススム だって、いやじゃないもの、ただ。 ユリコ 無理してない? ススム 全然。 ユリコ もっといい顔で笑うよ、ススムくん。 ススム こんな顔だよ。あ、ドイツ?(バームクーヘンって。) ユリコ ドイツ人、あんまり食べない。 ススム どこ行くの。ちょっと。 ユリコ、退場。 それを追ってススム、退場。 開演時刻。 ユリコ、ススムを巻いた様子で入場。すぐにモリ、入場。 ユリコ あ、こんにちは。 モリ こんにちは。 ユリコ 一緒じゃないんですか?(コウドウさん) モリ 私、仕事だったから。 ユリコ 日曜なのに。 モリ はい。どうですか、あれから? ユリコ 変わらずですね。 モリ モリさん、なにか、管理官の人、そのひとの車で来たんですけど、 ユリコ ハナロウさん? モリ はい。 ユリコ 来るんだ今日 モリ ちょっと聞いちゃって。みなさんの誰かが、月に行けるみたいで。あのひと、行きたがるし、絶対。 ユリコ え? モリ なにか、補欠がなんとかだから、誰かに月行ってもらうって、車で。 ユリコ それは、そうなの。 モリ それも、六人じゃなくて、一人だけ。 ユリコ 一人だけ。 ススム、入場。 ススム あ、モリさんこんにちは。 モリ こんにちは。 ススム 先週のあれ、美味しかったです、イラン料理。 ユリコ もし、月に行けるってなったら、どうする? ススム 行くよもちろん。 ユリコ 一人だけだったら。 ススム 行きたい。え、どういう? ユリコ、退場。 モリ ごめんなさい、私よけいなこと。でも。 モリ、退場。ススム、のろのろとカバンからヘルメットとハンマーを出す。 二分後、ミミ、入場。 ¥ミミ、ススム ミミ ども。 ススム ああ、こんにちは。 間。 ミミ このたびは、なんというか、あれですね。 ススム ええ。 ミミ ご家族の方で、イシヤマさんの。 ススム はい。 ミミ あの。おめでとうございます。 ススム はあ、ども。 ミミ ほんと、よろしくおねがいします。いろいろ。 ススム あの、すみません、どちらさまですか。 ミミ あ、ごめんなさい。わたし、あれです、セガワミミです。ミミは耳です、ほら、ここ、顔の耳。 ススム かわってますね。 ミミ よく言われます。 ススム どういう意味です? ミミ 耳です、頭の。聞いたりする。 ススム ええ、耳ですよね。耳。それは、どういうご両親の、あれがあるのですか。 ミミ そういう意味ですか。なんでしょう、イメージ的には、なんでしょう。 ススム やっぱありますよね、なんか、パーツの名前つけるってことは身体の。意味がそこに。 ミミ 軽く聞いた感じではあれみたいです、昔であやふやですけど。話とか聞く感じになってほしかたみたいです。 ススム ああ、そういう。 ミミ あれみたいです。 ススム 実際どうです、そのへん。 ミミ ああ、どうです。 ススム だいたいいいんじゃないですか。 ミミ そうですか。だといいんですけど。変な話、よく言われるんです。なんか、聞いてないでしょとか。人の。 ススム ああ、どうですかね。 ミミ 自分ではあれです、ちゃんと聞いてる勢いあるっていうか、そんなにがんばってるってあれじゃなくて、その、自然なムードを大切にしたいっていうか。あるじゃないですか、よく言うやつ。人の目を見て話すとか、そういうのがいいって言いますけど、実際目とか見て話すのってあれですよね。だから目はあれなんですけど、耳は見られるっていうか、目と耳の間あたりを見るっていうか、聞けるのが聞きやすいほうじゃないですか、そのほうが、聞くっていうこっちのあれを、伝わってます? ススム わかりますよ。なんつーか、難しいですよね。 ミミ え何が。 ススム 目を見るとか。 ミミ そう、そうなんですけど、はい。 ススム 違います? ミミ あってます、ああ、待ってる。 ススム え? ミミ 待ってますよね、もっと。 ススム ぜんぜん待ってないです。 ミミ ああ、ですよね。 ススム そういう意味じゃなくって、違いますよ、興味ないとかの方じゃなくて、いま、あせってる感じだったから。 ミミ あせってるように見えます? ススム うーん、いや、あせってるっていうか、 ミミ あせってます、なんか得意じゃないっていうか、こういうの。ごめんなさい。 ススム すみませんなんか。 ミミ すみません。 間。 ススム なんかあれですか、誰かの身内かなにかですか。 ミミ すみません、セガワの。 ススム セガワ、セガワ。ああ。 ミミ やだ、なんか、ごめんなさい、説明あれですよね。 ススム いや普段、ごめんなさい、苗字とか呼ばないんで、ちょっとピンとこなかったていうか。 ミミ ありますよね、そういう。 間。 ススム ミミさんは、宇宙とか、どういう感じですか。 ミミ 宇宙ですか、宇宙は。わりと広いですよね。 ススム ええ、わりと。 ミミ お好きですか、あれ、宇宙系。 ススム そりゃ、まあ。 ミミ みなさまお好きなんですか、あれ、ご家族。 ススム いやそういうわけじゃないですよ、ぼくも好きかって聞かれるとそりゃ嫌いじゃないですけど、けっこうニュアンス微妙な部分ありありですから。 ミミ わたし好きですよ、月とか。よく見ます。あと写真とったり。 ススム ああ、それは、ありがとうございます。 ミミ はい。 ススム あの、変なこと聞いていいですか。 ミミ はい。 ススム バームクーヘンなんですけど。どうでしょう? ミミ どう、どう。好き、でしょうか。 ススム 他にないですか。 ミミ 他、ほかぁ? ススム ああ、もういいです、すいません(変なこと聞いちゃって)。 ミミ いえこちらこそ、申し訳ないです、たいしてあれに立てずに。 ススム、ミミ、しばしバームクーヘンバームクーヘンとつぶやきながら物思いにふける。 コスギコウドウ、入場。 ¥ミミ、ススム、コウドウ コウドウ おす。 ススム ども。 ミミ こんばんは。セガワです。このたびはどうも、なんというか。 コウドウ どうもどうも、コスギです。えーと、どういう(ご関係の方ですか)? ミミ セガワのあれです。 コウドウ あー。よろしく。(ススムに)こんだけ? ススム うん。 コウドウ 最近どう? ススム 最近、最近。最近ねえ。まあまあっす。 コウドウ まあまあかよ。 ススム え、すみません。 コウドウ 怒ってねえよ。奥さん元気? ススム みたいです。 コウドウ なんで一緒じゃねえんだよ。 ススム それは、なんていうか、こっちが聞きたいですよ。コウさんは。 ミミ、退場。 ¥ススム、コウドウ コウドウ ね、誰。 ススム 知り合いじゃないですか、誰かの。 コウドウ え、知らないの? ススム はあ、なんか、いたんで。 コウドウ 間違っちゃってるんじゃないの、場所とかさ。 ススム かもですね。 コウドウ 聞けよ。 ススム 自分で聞いてくださいよ。 コウドウ イヤだよなんでオレが。 ススム あの、コウドウさん。一つ聞きたいことがあるんですけど。 コウドウ なに。 ススム いいですか。 コウドウ なんだよ。 ススム バームクーヘン的にはどうでしょう。 間。 コウドウ あれ、なんで穴があるのか知ってるか。 ススム いいえ。 コウドウ あ、そう。 間。 ススム え、教えてくれないんですか。 コウドウ 自分でやれよ。 オノデラキリン、入場。 ¥キリン、ススム、コウドウ ススム ヒントだけでも。 キリン おはよー。 コウドウ おはようはねえだろ。 キリン ねね、昨日のニュースみた? ミミ入場。 ¥ミミ、キリン、ススム、コウドウ コウドウ オレ巨人いねえもん。 キリン 野球じゃないよ。 ススム マリナーズ、ワールドチャンピオンです? コウドウ やられたよイチロー監督。 キリン バカじゃないのあんたたち。 コウドウ (バカじゃ)ないよー。 キリン ニュース(見てないの)。 ススム 見ないから、テレビ。 キリン チェキなよ宇宙関連くらい。 ミミ あ、あれですか、ロケット落っこちたっていう。 コウドウ なにそれ。 キリン インド洋に墜落、中国のスペースプレーン、デブリにやられて。 ススム それ移民船の。 キリン そう。 間。 コウドウ そうか。 キリン (会社で)話題に出ない? 衛星つくってんでしょ。 コウドウ バカ昨日は休み。 キリン わたし働いてました。 ススム どうなっちゃうんでしょうね、日本の。 コウドウ 関係ねえだろ、大丈夫だよ、中止とか。 ススム そうですよね。 コウドウ なにあせってんだよ。 ミミ 好きなんですって、宇宙、このかた(ススム)。 コウドウ オレだって好きですよ。 ミミ あ、やっぱりご家族で。 コウドウ 親は、嫌いじゃないですかね、宇宙。 ミミ ああ。 キリン いっそあれよね、中止になればいいのにね。 コウドウ うわー、笑えないよキリンちゃん。 ススム デブリのサイズは? キリン 知らないけど、微小デブリって(言ってたよ)。 ミミ あの、デブリって何ですか? キリン 宇宙ゴミ。なんか、宇宙ってゴミがいっぱいちらかってんのよ。ていうか、どちらさま? ミミ すみません、申し遅れました。 キリン いえこちらこそ。 ミミ あの、あの、セガワミミと申します。ミミは耳のミミです。 キリン え? ミミ 顔についてる、二個ずつ。 コウドウ わからんよ。 ミミ え? コウドウ 一個の人もいる。 ミミ あ。 キリン オノデラキリンです、えっと、同じグループの。 ミミ ああ。 キリン (どなたかの)ご家族? ミミ はい、あの、セガワの、兄がこのたびは。 キリン 兄? カンバラユキチ入場。 ¥ユキチ、ミミ、キリン、ススム、コウドウ ユキチ ここか、おおススム、いたいた、ああみんなも。 ススム よ。 キリン おはようございます。 ユキチ いやびっくりしたなあれ。 キリン ねー。映像みた? ユキチ 見すぎ、朝からもうガンガンよ。 キリン この二人(コウドウとススム)知らなかったよ。 ユキチ ああ、テレビとか、貧乏で。 コウドウ どんだけ貧しいんだよ。 ススム 心配だね、移民計画。 ユキチ ああ、でも、もう流れ止まんないっしょ。 ススム そう思うけどさ。 キリン ああ、自分たちだったらと思うと、怖いよね。 ユキチ (微小デブリはレーダーでも)わかんねえしな。 コウドウ いやあ、中国だろ。デブリのせいにしてるんじゃねえの。 キリン 何を。 コウドウ 整備不良とかさ。 ユキチ ありえる、つかテロって噂も。 コウドウ テロならまだいいけどよ、アメリカさんの作戦だったら。 ススム 映画ですねそれ。 コウドウ 薄いなー危機感。 キリン 無事に飛ぶといいね、次。 ススム 今年中に千人飛ばすんでしょ、アジアだけで。 コウドウ 大忙しだ。 ユキチ まあ、でもいいじゃないすか、もうオレら関係ないんだし。 コウドウ わかんねえよ。補欠で一人くらい合格するかもしれないじゃん。 キリン いいね、それ。 ススム 実際、つらいとおもうけど、選ばれても落とされても。 ユキチ ほんとすんませんけど、まあしたらオレですね、行くの。 コウドウ を、表でるか。 ユキチ いやいやいや、何を言ってるんですか。 コウドウ 根性ねえよなお前、口ばっかりだよ。 ユキチ そうでなくて、オレはコウドウさんの身体を気遣ってるんですよ、せっかく陸に残ることになったのにぃ、彼女泣いちゃうでしょ。 コウドウ よし泣かせてもらおう。 ユキチ あ、ほんとすんませんでした粋がってました。 キリン 仲いいわね。 ススム 仕込んでた。 ユキチ ねえよ。 キリン デートしてきたら、あと一〇分くらいあるし。 コウドウ 一〇分じゃなにもできないよね。 ミミ あははははは。 間。 ミミ すみません。 コウドウ いや、ありがとう。 ユキチ いい趣味してるね。 ミミ ほんとですか。 ユキチ オレが一番としたらキミは三番。 ミミ ええ、うれしいかなあ。 ユキチ 何いってんのこれ名誉よ、プラウドオブアースよ。 ミミ あの、セガワミミです、ミミは顔の耳です、でも耳って言っても確実に二つあるってあれじゃないんですけど、おおむねの人には二つついてて聞くあれです。 間。 ユキチ (オレより)おもしろい。 タカハラアマネ、入場。大きなカバンを背負っている。 ¥アマネ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム、コウドウ コウドウ よー。 キリン きゃーアマネ、ひさしぶり。 アマネ そうだっけ。 キリン 二週間。 アマネ あんまひさしぶってないよね。 キリン 辛口ですよね、アマネさん。 アマネ スイートアマネ。 間。 コウドウ (ススムに)フォロー。 ススム パンくさいよ。 ユキチ なんだよそれ。イースト菌が生きてるね。 アマネ おいしそうってことだ。 コウドウ そうそう、前向きにとらえると。 ユキチ あとは、ススムワイフは? キリン しらない。 ススム どっかそのへんに。 コウドウ (ユキチに)そうだ、お前、ちょっと来い。 コウドウ、ユキチ、退場。 ¥アマネ、ミミ、キリン、ススム キリン 妻どこ行っちゃったの。 ススム 本人に聞いてよ。 ミミ すいません、なんか、うちのみんな遅くって。 ススム いや来ますよ、まだだし(時間)。 ミミ ほんといっつも、ルーズで。 キリン さっきのユキチとかもたいがいルーズですよ、アマネ(がいるから早かったの)だ。 間。 キリン 無視ですよね。 ススム ああ、聞こえてないんじゃない。 アマネ え、私。 キリン 何でもないわよ。 アマネ お茶もらってくる。 アマネ、退場。 ¥ミミ、キリン、ススム キリン アマネ、好きだー。 ススム 通じないね。 ミミ あれ、お付き合いされてる? ススム そういうあれじゃないですよ。つうか、なんか意外とつっこんできますね。 ミミ すみなせん、なんか、好きなんです恋愛とか。失礼しました。 ススム ああ。 キリン 私も好きよ、恋愛とか。 ミミ はじめてみました、同性愛とか。 キリン ノーウェイ。ユキチがアマネのこと好きなの。ね。 ススム どうだろ。 キリン (ススムは)鈍いもんね。 ススム いやきみもたいがい鈍いと思うよ。 ミミ すみません、わたしお二人(キリンとアマネ)が、いい仲だとてっきり。 キリン どこ見たらそうなるの。 ススム キリンさ、彼女にもさっきちょっと聞いたんだけど。 キリン なに。 ススム バームクーヘンて、どうかな。 キリン どうって言われても、なに、それは、(持って)ないわよ。 ススム うん、そうだよね。 ミミ 好きなんですね、あれ。 ススム いや好きとかってあれじゃないんですけど。 オオバヤシモリ、入場。 ¥モリ、ミミ、キリン、ススム モリ こんばんは。 ススム ども。お一人で? モリ 乗せていただいて、管理官さんに、駅でたまたま。 ススム ああ、ハナロウさん? モリ はい。 ススム ああ。ああ、このかた、オオバヤシモリさん、ほら、コウさんの(お付き合いされてる)。 キリン きゃー、はじめまして。 モリ はじめまして。 キリン 美人さんですね。 モリ そんな。 キリン オノデラキリンです、この暗いひとがイシヤマススムさんで、 モリ (ユリコさんとは)どうです? ススム え、いや、あのままです。 モリ (不思議そうな顔をしているキリンに)このあいだ、お会いしました、あの人と四人で。 ススム イラン料理食べたんだ。 キリン いいなあ。で、あとミミちゃん。 ミミ セガワミミです。はじめまして、このたびは。 モリ こんにちは。 キリン てかなんでハナロウ来んの。 ススム まあ、いいじゃない。 キリン もう超ブルーなんだけど。 ススム そんなに(嫌いなんだ)。 キリン あんたイヤじゃないの(、わたしたち落としたのよあいつ)。 ススム それは別に、ハナロウさんが悪いワケじゃないでしょう。 ミミ ああ、もしかして、月面移民の皆さん? ススム え? ミミ あの、移民候補の? キリン うん。 ミミ いやだ、なんで? キリン だって、そういう集まりですから、残念会っていう。 ミミ わたし、あれだ。 コウドウ、ユキチ、入場。 ¥コウドウ、ユキチ、モリ、ミミ、キリン、ススム コウドウ お、おお、(みんな揃ってるな) ミミ 私、すみません、ほんとごめんなさい、間違えちゃった。 コウドウ ほら。 ススムとユキチ すごいっすコウさん。 ミミ お邪魔しました。 キリン まあまあ、お茶でも飲んで行きなさいよ。 ミミ もう死んでしまいたいです。 キリン (ユキチに)この人(モリを紹介して)、コウドウさんのおつきあいしている。 ユキチ やばい、超マブ。 コウドウ だろ。 ユキチ カンバラユキチす、初代月大統領です。 モリ はじめまして、オオバヤシモリです。 ユキチ もう名前からして可愛いっす。 ミミ 私やっぱり、(出ます。) キリン まあまあ。 ユキチ (モリに)よかったですね、コウドウさん、月に行かなくって。 モリ どうかしらね。行っちゃった方がすっきりしたかも。 コウドウ 冗談なってないからキミたち。 モリ すぐ怒る。 コウドウ 怒ってないでしょ、いまのは。 ユキチ イチャイチャすんなよ。 コウドウ してねえよ。 セガワハナロウ、入場。 ¥ハナロウ、コウドウ、ユキチ、モリ、ミミ、キリン、ススム ハナロウ お邪魔いたします。 ミミ 兄ちゃん。 ハナロウ なんでお前いるの。 ミミ 結納、今日。 ハナロウ バカ。夜だ。それ。 ミミ え。 間。 ユキチ ハナロウさん結婚するんですか。 ハナロウ ああ、結納ですけど。 ユキチ 美人すか。 ハナロウ 黙秘します。 ミミ まぎらわしいよ。 ハナロウ 人の話聞け。 ミミ 伝わんないよあれじゃ。 ハナロウ 逆ギレか。 ミミ ほんと、みなさん、すみませんでした。 ススム 兄妹いたんですね。 ハナロウ まあ、いますよ。 ススム セガワってどっかで(聞いたことある)と思ったんですよ。 ユキチ 仲いいっすね。 ハナロウ いやたまたまですよこいつがいるの。 キリン おめでとうございます。 ハナロウ そういうのはいいんですよ。 アマネとユリコ、ポットのお茶とカップを持って入場。適当に人々にお茶を配る。 ¥アマネ、ユリコ、ハナロウ、コウドウ、ユキチ、モリ、ミミ、キリン、ススム ハナロウ ああ、これで全員ですね。 キリン ちょっとなんであなたが仕切ってるんですか。 ユキチ (ユリコとアマネに)あれなんでお二人がそんなん(お茶)やってるんすか。 アマネ なにか、(レストランに)事情があるらしい。 ユリコ 変なこと言ってたよ、ブツブツ。 キリン 誰かに呼ばれてます。 ハナロウ 呼ばれていませんね。 ユキチ じゃ(お茶くみ)オレやりますよ。(とアマネとユリコを手伝う。) キリン じゃちょっと遠慮してくださいよ、あんま言いたくないですけど、これもう関係ないじゃないですか(残念会)。 コウドウ 悪いね、気分悪くしないで。無理か。 ハナロウ ぜんぜん平気です。 ススム それもあれないですか。 ハナロウ すぐ出ます。ちょっといいですか、みなさん。このたび、月面都市一般移民一時募集者に、欠員がでました。 間。 ハナロウ 補欠を選定して、一般移民資格を与える運びになりました。つきましてはこの場の総意で、旧グループディーニジュウニのメンバーから一名の月面都市移民代表者を選んでください。時間制限は六〇分。 キリン ちょっと待って。 ハナロウ どうぞ。 キリン なんでもないです。 ハナロウ 六〇分たったらまた来ます。ああ、わかってると思いますけど、時間内に総意が得られなかった場合は、この話はなかったことになりますから。あ、あと、あれです。おなか減ってますよね。でも店の人には来ないように言ってあるので。あれです、あんま関係ないけど、その後存分にお召し上がりください。ここの料理、美味いですよ。とくにバームクーヘン。 ハナロウ、退場。 ¥アマネ、ユリコ、コウドウ、ユキチ、モリ、ミミ、キリン、ススム ミミ ええ? ススム (バームクーヘンは)料理じゃないよ。 ユリコ (ミミに)どなた? ミミ あの、妹です、セガワの、いまの。 ユリコ ああ。ショウジユリコです、このグループの。 ミミ すいません、なんか。 キリン ぜんぜん納得いかないよ。 ユキチ みんなで(行こう)って決めたのにな、絶対。 アマネ とりあえず、お茶(飲んで)。 アマネとユリコとユキチ、お茶をくばりおえる。口々にありがとうの声と、お茶をすする音。 ミミ あのわたし果てしなく場違いなエナジーびんびん感じてるんですけど。 ユキチ どうすんだこれ。 コウドウ 一人、選ぶんだろ。 ミミ そんなわたし宇宙なんかあれですよ。 モリ 帰ろうか? コウドウ いないとまずいんじゃないか。 ススム いや、それは、どうですかね。 ユリコ でも、それは、私たちもやりずらいし、それよりお二人がいづらいんじゃない。 ススム うん、でも、わりと条件ぽいし。 キリン 気に入らない気に入らない気に入らない。 モリ 私はいいですけど。 ミミ イヤわたしだってそりゃイヤじゃないって言えば嘘になりますけどぜんぜん意味わからないし、なんかお兄ちゃん嫌われてますよね。 キリン うん。 ミミ すみません。 キリン ああごめんそういう意味じゃないんだけど。えー、もういいじゃん、帰ろ。 ユリコ ダメ。 キリン なんでよ。 ユリコ うまく言えないけど、六人で行こうと思ってがんばってきて、それはとても大切なことだけど。 ススム だからみんなで行かないって言うより、誰か一人ぼくらの代表者には行ってもらった方が。 ユキチ 甘い、甘いね。いいなあちくしょう。 キリン あんた黙ってなよ。 ユキチ うそうそ。オレもそっちにさんせーい。こーなったらさ、オレが行くってことで全員一致だよね。 アマネ ない。 ユキチ ほんと、辛口ですよね。 コウドウ じゃあ、この六人から代表者を月に送り出すって言うのは、反対なしね? キリン でもそれだって嘘かもよ。だってあいつ、この組全員落選ですって言ったじゃない二週間前。それがなんでこんなときに一人選べって話になるのよ、なんかまた話が変わってさ、けっきょく誰も行けませんチャンチャンとかなるんじゃないの。 ユキチ 大丈夫だって、ガキじゃねえんだからさ。 アマネ あんた以外は。 ユキチ アマネちゃん見えてないなー、オレの一皮むいたら超大人よ。 ミミ あははははは。ごめんなさい。 ユキチ なんであやまるの。 ススム 笑ってもいい、と思うよ。 ユキチ 傷つくな。 ユリコ キリンは優しいから。 コウドウ じゃ、改めて聞くけど、この六人から一人選ぶのに賛成の人、挙手を願います。 間。ミミとモリ以外、挙手。 コウドウ (ミミとモリに)君たちは? モリ 私たちも(手をあげるの)? コウドウ (オレたちの中じゃ、何をするにも)全員一致が原則だったからさ。 モリ 邪魔じゃない? 私たち。 ユキチ そんなことないっすよ。 ミミ (お兄ちゃん)そこまで考えてないですよ。 アマネ (私たちを)知らない人がいて、それっていいんじゃない。 キリン どうして。 アマネ 私たちは選挙者で被選挙者でしょ。 キリン つまり? アマネ 関係ない方が、いいこと言えるときも。 コウドウ 友達の恋愛相談とかできんだろ、自分に彼氏がいないときでもさ。 キリン ああ。 ユキチ (キリンに)バカだな。 キリン じゃ、あんたわかったの? ユキチ お前ね、お前だけだよ今のわかんないの。 ススム まあ、いいこと言うよね、アマネちゃん。 ユリコ いいんじゃない、面白そうだし。 モリ じゃあ、いいけど。 ミミ じゃあじゃあ、あれですあれします、わたしも。 コウドウ よし。あと五五分くらい? ススム いったんまとめます? コウドウ そうだね。 ススム あと五五分で、六人の中から一人を選んで、代表者になっていただきます。結論はいまから五〇分後、でいいですか? 五〇分後に、この部屋にいまいる八人全員の意見の一致をみて、我々の結論とします。三分くらい考える時間があった方がいいと思うんですけど。 コウドウ じゃタバコ休憩にしよう、灰皿、 ユリコ 禁煙。 コウドウ どんなレストランだよ。 ユキチ 月仕様っすよ。 モリ そっち(テラス)で吸えるみたいよ。 コウドウ じゃ、とにかく五分でタバコなりトイレなり済ませてくれ。ススムの合図で話し合いを始めるよ。 全員 (はい、などの返事) ススム、コウドウ、テラスへ。タバコをふかす。 註:テラスとレストランは演出上はセリフが同時進行するシーンだが便宜的に二つに分かれている。 ¥アマネ、ユリコ、ユキチ、モリ、ミミ、キリン ¥▲コウドウ、ススム ▲コウドウ まいったな。 ▲ススム まあ、あれです。なるようになりますよ。 ▲コウドウ だな。 モリ 月仕様? ユリコ ああ、あっちじゃね、たばこ吸えないの。 モリ じゃだめじゃないコウドウ。 ユキチ けっこうきつかったらしいっすね。 ユリコ ま、こっち(東京)だってタバコ吸えるとこ(レストラン)へったし。 ユキチ トゥーレイトですよ、(海外)むこうじゃ三〇年前からシキジョーですよ。 ▲コウドウ まだ、別居してるの。 ▲ススム ええ、なんか、よくわかんないんですけど。 ▲コウドウ いいカップルだと思うけどね。 ▲ススム はあ。 モリ (あなたは)吸わないんですか? ユキチ 自分は(ないですね)。 ミミ 吸ってそうですよね。 ユキチ どっちかつうとバッドガイで売ってますんで自分。 キリン 悪いこと言わないからさ、一回測ってもらった方がいいよIQとか。 ユキチ 測ったっつうの、お前も受けたろ試験の前。 ミミ 試験て、月に行く試験ですか。 ユリコ そう。 ミミ どんなことするんですか。 ユキチ ブラザーから聞かないの? ミミ 一緒に住んでるワケじゃないんで。 ユキチ まず試験どうこうの前に条件があって、アピアランスとスリーサイズね。 ユリコ よく通ったわね。 ユキチ 嘘つきました。英語しゃべれて健康状態チェキ、あと極端にデブな人とかエヌジーね、船に乗れないからさ。で、そのへんパスしたら試験よ。 キリン すごいよなんか、ケーブルとかヘッドセットとかつけたりさ、重力試験とかちょうキモイのもうあれはほんと笑う。で、三次試験まであって、一次二次で体力や賢さみたいなものをテストして、三次で二週間、チームごとに閉塞空間。 ミミ ああそれ見ましたあれで、バイオハザード。 ユリコ バイオスフィアね。 モリ 大変そうですよね、二週間も。 キリン そりゃいろいろありましたよ。 ユキチ 聞いてないんですか(コウドウさんから)。 モリ あの人、あまり話さないから。 キリン (ユキチは)言わなくていいことまでしゃべるもんね。 ユキチ 人間(関係の潤滑)ローションだからさ、オレだっていやよ。 キリン 考えなよ、政治家。 モリ 政治家なんですか? アマネ 学生。 ユキチ え、自分世界変えますんで。宇宙から変えていくんで。 ミミ もう行く気です。 ユキチ あたりまえっすよ。だってみんなそうでしょ。 ▲コウドウ 全員落ちるより、一人でも上に上がれた方がいいもんな。ここ反対するとこないよな。 ▲ススム もちろん。 ▲コウドウ やるか。 ユキチ でもないですよね。 ▲コウドウ ちょっと、あれと、二人で話していいかな。 ススム、うなづいて、レストランへ。 ¥モリ、アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム ¥▲コウドウ ススム モリさん、ちょっと、いいですか、テラス。 モリ え? ああ、はい、ありがとう。 モリ、テラスへ。 ¥アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム ¥▲コウドウ、モリ ▲コウドウ よ。 ユキチ なんすかね。 ユリコ 人ごとじゃないね。 ススム うん。 ユリコ どうしようか。 ススム どうもこうも。ねえ。 ▲コウドウ いい天気だな。 ▲モリ 行きたいんでしょ。 ▲コウドウ うん。 キリン なんで一緒じゃいけないのよ。 ユリコ そう、言ってみるのもいいかもね。 キリン じゃそうしよう、一人だけなんて意味ないもん。(ミミに)ね。 ミミ はいはいはい。 ユキチ そいうわけにはいかんでしょう。 ▲コウドウ いいかな。 ▲モリ ダメ。 ユキチ ぜんぶこれ、試験に組まれてるんだからさ、絶対。はなっからこういうつもりだたんだよ、上はさ。 キリン ひどくない、それ。 ススム そういうものなんだよね。 ▲モリ でも、行きたいんでしょ。 ▲コウドウ うん。 ▲モリ じゃあ、行ったらいいじゃない。 ユリコ 一人でも、行きたいんじゃない? キリン うん。 ユキチ そらそうですよ。 ▲コウドウ ごめん。 ▲モリ うん。 ▲コウドウ いってきます。 ▲モリ まだわからないでしょ。 ▲コウドウ うん。 ▲モリ 私、外で待ってるから。 モリ、レストランへ。 ¥モリ、アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム ¥▲コウドウ モリ ごめんなさい、私ちょっと、やっぱり外で待ってますね。みなさんが決めたことには、全部賛成しますから、申し訳ないけど。 ススム ああ、それは、どうでしょう。 キリン 平気だよ。はい、モリさん帰っていい人挙手。(アマネ、ユリコ、ユキチ、キリン、ススム、手を挙げる。) ススム じゃ、大丈夫です。 モリ ごめんなさい、またあとで。 モリ、退場。 ¥アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム ¥▲コウドウ ミミ 私も。 キリン ダメ。 ミミ なんで。 キリン なんとなく。 ミミ あれ、あれですね。 ススム そろそろか。 ユキチ (テラスに)コウドウさん、時間すよ。 ▲コウドウ おお。 コウドウ、レストランへ。 ¥コウドウ、アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、キリン、ススム コウドウ じゃ、はじめるか。 ススム どうします? コウドウ まず行きたいやつ行きたくないやつを聞かないとな。 ユキチ そこでプレゼンもしましょうよ、(ミミに)このひとみんな知らないワケだし。 ミミ ええ? そんなあれ無理ですよ ユリコ なんとなくでいいの。 ミミ そうですか。 ユリコ あなたが決めるワケじゃないんだから。 コウドウ 名前と簡単な自己紹介か。 ススム 時間は一分以内でお願いします。 ユキチ 誰から? コウドウ お前は後ね。 ユキチ なんでよ。 アマネ 私。 コウドウ よし、アマネ。 アマネ タカハラアマネです。アマネは天国の天と書きます。パン屋です。パン作ります月で。月行きます。 拍手。アマネ、カバンからオーブントースターや小麦粉を取り出し始める。以後、アマネはパンを作りつづける。 コウドウ なにしてんの。 アマネ 作ろうと思って。 ユリコ パン? アマネ 豆腐に見えるか? コウドウ じゃ、次誰。決めてね。 アマネ ユキチ。 ユキチ サンキュー。カンバラユキチ二五歳学生、生まれは東京育ちはシドニー。現在悪名高き東京大学大学院法学政治学研究科。月総理大臣なります、月絶対行くぞ。(拍手。)ユリコさん。 ユリコ ショウジユリコ二です。二六歳、金融の会社で働いています。天文学者が夢で、ドイツに留学してました。趣味は映画を見ること、ごはんをつくること、あとそれ食べること。月には。(間)行きません。 間。 ユリコ ススムくん。 ススム えーと。あの、イシヤマススムです。石の山が進むと書きます。とくにこれといって、ないんですけど、ああ、バイトです。三〇にもなってバイトは、あれですけど。よく本読んでます、テレビは、見ませんけど、ネットはすごいやります。月には。行きたいです。(拍手。)キリンさん。 キリン おはようございます。オノデラキリンと申します。二五歳デパガです、ほんとはスッチーになりたかったんですけど、なんかダメでした。でも今はエレベーターガールの仕事好きですし、良かったなと思います。テレビと買い物と旅行が好きですけどだからってバカだと思うやつはバカだと思います。夢は、月面初のエレベーターガールになることです。フライミートゥザムーン、サンクスアロット(拍手。)コウドウさん。 コウドウ コスギコウドウ、三五歳。趣味はこれといってないですが、中高大とアメリカでして、ボクシングでけっこういいせんいきました。あー、宇宙飛行士が夢でしたが、目がダメで。まあよくある話ですけどね。それで人工衛星の会社に入って今勤めています。月に行き、生活します。ご静聴感謝。(拍手。) 間。 コウドウ (ミミに)じゃ、キミ。 ミミ あれわたしもですか、あれじゃないですか。 キリン だって、一応さ。 ミミ あれですよそれ。 ユキチ いよぅ、トリ。 ススム ミミさん、がんば。 ミミをのぞく一同、拍手。 ミミ えーあれ、あれです、セガワミミです、ミミのミミは耳と書きます漢字で、えーと、あれ、学生です。えーと、すみませんでした今日は、やさしくしていただいて、あの、間違えてました、夜兄の結納なんですけどそれと。兄は月面開発機構職員のあれです、セガワハナロウですが、すみません兄がご迷惑おかけしてるみたいで。なんかほんとすみませんこんな、しゃべって。終わりです。(拍手。) 間。 ススム 全員かな。 ユキチ さて、どうすんだ、これから。 キリン じゃんけん。 アマネ 正論だね、幸運。 キリン アマネ。かわいいなあ。 ユキチ (ヘルメットとピコピコハンマーを見て)これで決めたらいいんじゃない? キリン これ誰もってきたの? ススム ぼく。でも、やめようよ。これ負けたことないよ。 コウドウ じゃ、やってみよう。 ススムとコウドウ、じゃんけんで片方がハンマーでたたいて、負けた方がヘルメットで防ぐゲーム。ススムが勝つ。 ユキチ すげえ。 ススム これだけは上手いんです。 ユリコ どうかな、それ。 キリン 私もやりたい。 ミミ じゃじゃ、わたしも。 キリン、ミミ、ピコピコはじめる。 ススム で、まじめな話どうしましょう。 ユキチ 投票じゃないすかやっぱ。 ユリコ サバイバー方式どうかな、一人一人落としていくの。 ススム 行きたい人の主張をさ、聞いたらいいんじゃないかな。 コウドウ ユリコはどうするの。 間。 ユリコ 遠慮する。 コウドウ うーんと。 ユリコ 残りの五人を考えましょう。 コウドウ そりゃ楽でいいよ減ったら。でも、ありゃなんだったんですか、倍率千倍を通ったプレゼンは。オレすごいと思いましたよ、こいつすごいって。 ミミ どんなだったんです。 キリン 天文学かじった人なら誰でも月で星を見たいって言ってたよね、こっちからじゃぜんぜん比べものになんないからって、ユリコ。 ユキチ だね、オレもあれしびれたよ、やっぱちげえやとか思ったし。 ススム いやもっと上手く言ってたんだよこれをこの人たち、うまくあれできないけど。 ミミ わかりますそれ。 コウドウ ちょっとがっかりだな。 ユリコ 変なの。いいじゃない、どうせ行けるの一人なんだから、そこでしょ重要なの。変だよコウドウさん。 ススム 進めましょう、ユリコは、辞退するそうですから、それで異論ある人。 間。キリンが手を挙げる。 キリン なんで? ユリコ だって、(ススムくんが)いないところに行ったって。 間。 キリン わかった。 ススム うん。じゃあ、話進めるよ。あらためて月で何をしたいのか語ってもらいましょうか。一人一人検討して、一番ふさわしい人を選びましょう。 ユリコ ラチあかないから、どんどん落としていこうよ、多数決で。 キリン だめ。 ユリコ 時間なくなっちゃうよ。 キリン ケンカになるよ。 ユリコ いいじゃない、仲がいいほどよくケンカしよ。 キリン ユリコもういいじゃない、行く気ないのに口出すのダメだよ。 ユリコ 選ぶ権利ある。 キリン ユリコは意見する権利がないと思います。賛成の人挙手ねがいます。 ススム わかるけど、まずいよ。 ユキチ 言論は自由だからな。つか、ユリコさんのある意味理にかなってるし。 キリン あ、そう。 ユキチ いやキリンは熱いとこ好きだよ。でもあと、 ススム 四〇分。 ユキチ それしかないわけじゃんか。あんま長い話するより、 キリン じゃあ誰でもいいから一人偉ぶってこと。 コウドウ そう。誰でもいいから一人選ぶんだ。 間。 ススム ぼくの案とユリコ案があります、他にありますか。なければ多数決で。 ミミ すみません。私もやるんですか。 ススム もちろん。 ミミ はい。 ススム ぼくの案のかた。 キリン、ユキチ、ミミ挙手。 ススム ではユリコ案の方。 コウドウ、ススム、ユリコ、アマネ挙手。 ススム ユリコ案でいきましょう。 ユキチ でもごめんよけいなこと言っていいですか。これ、やっぱりベストじゃなくて仕方なくって案だと思います。ほんとはみんなやりたくないと思うけど、こういうとき消去法が一番、さ。 キリン わかってる。 コウドウ 時間で区切るか。一〇分ごとに一人ずつ選んでいけばいいわけだ。過半数でなくても、その場で一番挙手の多かったひとが資格を失います、オーケー? ススム ほんと、これ、恨みっこなしですよ。 ユキチ ドキドキするな。 アマネ 遊びじゃないよ。 ユキチ 気楽にやろうや、な。 ススム だね。 キリン どうやって。 ユキチ これ、食おう。(みかんを出す) ミミ ありがとうございます。 ユリコ 高かったでしょ、まだ。 ユキチ 実家、つくってんの。 ススム すっぱい。 コウドウ うまい。 キリン 甘い方がすき。 ユキチ バカミカンはすっぱい方が美味いんだよ。 キリン 選べないよ。 ススム でも、選ばないとね。 コウドウ もしもさ、おれ等の住んでるブロックが月でだよ、なにかの事故にあって、三人が閉じこめられたとしてさ。救助隊が来るのは七二時間後、酸素は四八時間分とするじゃないか。 キリン わかってるわよそんなこと。でもわたしは三人で助かる方法考える。 コウドウ そうか。オレもそうする。 キリン だからさ、六人みんなで行く方法、 アマネ お前好きだ。でも、ダメだ。誰かを選ばないと。 キリン あきらめなければ、なんかあるよ。 ユリコ そういうの、いるかもね、上で。 コウドウ 確かに物わかり良すぎかもしれない。 ススム じゃ、ちょっと考えてみます。前提として、開発機構の移民えらび、ここまで含めてやってますよね。 コウドウ だろうな。 キリン ハナロウやっつけて、ボクシング。 コウドウ あのな、そういう問題じゃねえだろ。 ユキチ 他のグループも同じように動くなら、いけませんかね。 ススム まあね、連絡先なんてその気になればわかるし、やっちゃダメだけど。 ユキチ そんなことできんの。 ユリコ パソコン友達だもんね。 ユキチ あんなピコピコより役立つじゃん。 ススム バレたら捕まっちゃうよ。 ユリコ 六人じゃ、どうにも。結局、選ぶのはあっちだもの。 キリン ユリコ、もう興味ないんだ。 ユリコ (星空の写真を指さしながら)シリウス、カノープス、リゲル・ケンタウルス、アークトゥルス、ベガ、カペラ、リゲル、プロキオン、アケルナル、ベテルギウス、ハダル、アクルクス、アルタイル、アルデバラン、アンタレス、スピカ、ポルックス、フォーマルハウト、デネブ、ベクルクス、レグルス、恒星二一個。月には大気がないから、よく見えるんだ。全員を選んだっていいけど、ここまでがプログラムだとしたら選べない。もうみんなで一人一人落としていこうって、言葉は悪いけど決めたんだから。時間切れなんて、一番かっこわるいよ。 間。 アマネ 私はユキチが落ちると思う。うるさいから。 ユキチ え、それだけ。 アマネ もっと(いじめられたいのか)。 ユキチ 結構です。アマネは、どうかな、パンだろ、なくてもいいじゃん月に。 アマネ 食べるってのは、ヒトのすごい大事なことだ。ヒトを幸せにするのは食べ物だし、食べ物はパンだ。私は月のヒトにおいしいパンを食べてもらいたい。 ユキチ おいおい、政治家だって、 アマネ お前は、学生だ。政治家になってから来たって、遅くない。 ユキチ それじゃダメなんだよ、今行かないと、どうせ既得権益まみれにされるに決まってんだ、一番最初ってラベルが武器になんだよ。 ススム いらないって言っちゃうと、ぼくなんかほんとただのフリーターなワケだけど。 キリン エレベーターガールはいるよね、軌道エレベーターってさ、やっぱ世界最高のエレベーターなワケでしょ、そこには世界最高のエレベーターガールが必要じゃない。 間。 ススム 軌道エレベーターってなんだか知ってる? キリン だから、世界最高のエレベータ。 コウドウ たぶんいないんじゃないかな、エレガ。 ユキチ エレベーターガールって、よその国で見たことないぜ。 ユリコ ああ、そういえば。 アマネ (日本でも)最近ない。 キリン なになに、じゃあ私なんかいらないってこと月に。 ミミ でも、キリンさんみたいな正しい人っていうか、あれですよね、きっと。 間。 ススム あれってどっちの意味。 ミミ ああいい意味です、もちろん。なんか、だっていいですよこの人。 ススム あと一分です。コウさんは。 コウドウ うん、そうだな、まあ男よりは女の子に来てほしい。 ユキチ ちょちょ、そういう尺度はなしっぽいっすよ。 コウドウ バカお前、重要だよ最重要だよ。 ユキチ だって彼女いるじゃないっすかコウドウさん。 コウドウ 関係ねえよ。 ユキチ コウドウさんもススムさんも、いいじゃないすか彼女とか奥さんとかいるんだから、月なんかいかないで地上でラブラブしててくださいよ。 アマネ 正論。 ユキチ だよな。 コウドウ がんばれよ(ユキチの肩をたたく)。 ススム そろそろだけど、みんな、決まりました? キリン 早い。 ススム すみません。 ミミ 悪くないですよ。 ユリコ わかんないよ、ススムくんのせいかも。 コウドウ あんまいじめんなよ。 ユリコ 愛情表現。 ススム はい、時間です。じゃあ、名前アイウエオ順でいい? 資格を失う人を選んでください。アマネさん。(間)キリンさん。(間)コウドウさん。(間)ぼく。(ユキチ、ユリコ、挙手。間)ユキチさん。(キリン、コウドウ、ミミ、アマネ、ススム、挙手。) ユキチ 決まりじゃん、ね。これ。 ススム 次、いきましょう。すぐやりますか。 コウドウ いや五分あけた方がいいんじゃないか。 キリン なんか、気持ち悪い、動機だけ明確にしよう。わたしは、ユキチまだこっちでやることがあると思う。 ユリコ 私(がススムに挙手した理由)は、わかるよね。 ユキチ オレもです。 コウドウ ユキチはうるさいから。 ユキチ マジすかそれ。 コウドウ ああ。お前がそれわからないってのが理由。 アマネ うるさい。 ススム ぼくは、大学院ちゃんと出た方がいいと思うよ。 ミミ あの、ノリだけな気がしたんで。もちろんそれだけじゃない人だとも思うんですけど、なんかそんなあれがあったんで。 ユキチ サンキュサンキュ、イナフ、アイムフル。 電話ボックスのおもちゃで遊びはじめるユキチ。間。 コウドウ 次は我が身だよ。 ススム まったくです。じゃあ、 キリン 一人一人検討しよう。今みたいに、この人はこうだって。時間足りなくならないように、後一〇分、一人二分かけられる。 ススム 休憩は。 ユリコ いらない。 コウドウ おいおい。 ススム ほかにご意見は。 コウドウ タバコ。 ススム じゃ、残ってる順でいきますか。アマネさん、どうですみなさん。 ミミ 無口です。 ススム パンおいしいです。でもパンくさい。 キリン 無条件に好き。 コウドウ コミュニケーション得意じゃないよね。 ユリコ (パンの)作り方教えて。 ススム なんで月なの。 アマネ (成功が)早いから、ライバル少ない方が。 コウドウ 月、意味ないじゃんか。 アマネ それ言い始めたら、月でなくちゃいけない意味なんて誰にもない。 ススム そうだね。 ススム ユキチは。 ユキチ えー。がんばって。 ススム 次進みます? キリンさん。 キリン かわいい。 コウドウ (エレベーターガールの)仕事ないぞ。 キリン そのうちできるわよ。 ススム ちょっときびしそう。 ユリコ 優しいヒステリー。 ミミ 優しいですけど、あれですよね、はってありそうですよね、こわれもの注意とか。 ススム ムードメーカーっぽいかな、ユキチもそうだけど。 ユキチ ども。好きでした。 コウドウ (ユキチに)男だな。意外と賢いし、大事なことはわかってるタイプだけど、ちょっとバカだな。 アマネ 好きだ。 間。 ススム 他になければ、コウドウさん。 キリン しきり屋。えらそう。 ユキチ 同意。 ススム 暗い過去背負ってそうです。 ミミ 彼女あれ、きれい。 アマネ もっともなこと言うけど、うさんくさい。 ユリコ 乱暴なのは照れ屋だからですよね。 コウドウ これめちゃくちゃ恥ずかしいな。 ススム がまんしてください。 アマネ パンも食べよう。 コウドウ お米の国の人ですから。 ススム 終わりかな。もっと言いたいことがある人。 ユリコ 彼女、どうするんですか。 コウドウ 選ばれてから考える。 ユリコ 選ばれたら、どうするんですか。 コウドウ 前も言ったろ。 ユリコ 今言って。 間。 ススム 次、いきます。ぼく。 コウドウ 好プレー。気配りのススムくん。 アマネとキリン 暗い。 キリン けど意外とまとめ役。 ミミ 奥さんきれいですよね、あとあれです、いい人。 ユキチ 要領いいよね、実は。 ユリコ 奥さんどうするんですか。 間。 ススム 次、 ユリコ 奥さんどうするんですか。 ススム 好きです。 間。 ススム 時間です。次の投票に移りたいと思います。異論はないですか。 間。 ススム アマネさん。(間)キリンさん。(アマネ、コウドウ、ススム、ミミ、挙手。間)四人、過半数です。 間。 キリン なんで。 アマネ キリンは、優しすぎるから。 間。キリン、テラスに出る。 ¥コウドウ、アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、ススム ¥▲キリン ススム ちょっと、待ちましょう。 ユキチ ごめんタバコ(ちょうだい)。 ススム いいけど(タバコをあげる)。 ユキチ、テラスへ。タバコに火をつける。むせる。 ¥コウドウ、アマネ、ユリコ、ミミ、ススム ¥▲キリン、ユキチ コウドウ (ユキチがタバコを吸う様を見て。)あいつうまいことやりやがった。 ユリコ (テラスに)行ってきたら? コウドウ 出れるかよ。 ミミ なんかあれですね、あれになってきました。 ススム つらい? ミミ てか、楽しくなってきました。 ユリコ お兄さんみたい。 ミミ ああー。 ユキチ、レストランに帰ってくる。 ユキチ ああ美味かった。 コウドウ 気に障るなー、ほんと。 ユキチ じっさい、声かけられませんよ。コウドウさんどうします。 コウドウ 黙って抱きしめる。 ユリコ 本気? コウドウ ケースバイケース。 ユキチ 今は、そういうんじゃないっすよ、別に。 アマネ それでいい。 ユキチ サンキュウ。 ススム (テラスに)そろそろ、続けますよ。 キリン、レストランへ。 ¥コウドウ、アマネ、ユリコ、ユキチ、ミミ、ススム、キリン ススム 大丈夫? キリン (うなづく) ススム さっきまでと同じ進行で問題ないですか。 ミミ わたし、もうちょっときちんとあれしたいです、なんで宇宙に行きたいか聞きたいです。本当はみなさんにお伺いしたいんですけど、やっぱりあれなんで、今の人たちだけでも。 ススム じゃ一〇分だから、一人三分ですかね。 アマネ 私からばかりはイヤだ、アイウエオ反対順しよう。 ススム はい、じゃあ、残りの三人のうち、一人を選ぶことにします。じゃ、進めます。最初は、あ、ぼくか。ええ。ええー。あの、ぼくは、ほんとダメなんです。今年で三一ですけど、大学出て、えーと、コンビニとかでバイトして、なんか、パソコンとかゲームとか、そういうので、ダメなんです。なんか。でも、本当にわかんないんですけど、ぼくにはすごくすてきな奥さんがいます。本当にもったいないんです、この奥さん。もったいないんですけど、いるんですぼくには。で、ぼくは奥さんと、逃げ出したかったんです。ここから。えーと、それが最初の動機みたいなあれなんです、あれっていうか、動機なんです。でも、いまは、遠くに行きたいんです、一人でどこまで行けるか試してみたいんです。それは、帰る場所が、あるからです。帰る場所があれば、ぼくはどこまでだっていけると思うんです。ぼくはこんなに、なにかをやりたいと思ったことは今までありません。月で、新しい街をつくる手伝いなんか出来たら、本当にうれしい。怖いですけど、怖いですけど、とても。終わりです。 間。拍手。 ススム コウドウさん、いいですか。 コウドウ うん。すごく冷静に考えて、おれはおれが一番行くべきだと思うんだ。それは知識もあるし、経験もある、経験っていうのはまあ、宇宙開発に携わったってことだ。まあはしっこだけどな。弱点があるとすればタバコだが、タバコはやめる、やめるって言うか吸えないんだけどさ。それに、おれは、いや、違うな。(間)行きたい。もうなにをしてもどんな格好悪くても行きたい。土下座すれば行けるなら土下座するし、彼女と別れれば行けるというなら。おれは別れる。人殺しもしかねない。いや、しないよほんとは。あー、最後に必要なのは、結局そういう強さだ。なんか、オレ必死だな。はは。ああ。以上。 間。拍手。 ススム 最後、アマネさん。 アマネ あの、まず、パン焼けたんで、食べてください(とパンを配る。)私なんか別に月に必要じゃないんです。だって、別にパンとか、いらないし。ススムくん機械強いし。コウドウさんなんかほんと、半分プロみたいでずるいと思うし。なんか私パン焼くだけだし、すごく普通、べつに日本でもパン焼けるしいままでそれなりに楽しかったし、まあバカな上司とかいるけど、楽しい。だから私、月に行った方がいい。それは特別なことじゃないってしたい。月の街でもおいしいパンが食べられるってしたい。ふつうのおばさんとかおじいちゃんとか、生きるところをつくるんでしょ。私、そういうのなら、自分かけられるから。がんばれるから。 間。拍手。 ススム ちょっと時間あるんで、すこし考えます? ミミ ぜひぜひあれして。 ススム 五分でいいかな。 コウドウ オレとしちゃすぐ終わらせてほしいが。 ススム 同感です。でも異論はないんでしょ。じゃあ、一服しましょう。 間。コウドウ、ススム、ユキチ、テラスに出る。タバコに火をつけるススム、コウドウ。 ¥アマネ、ユリコ、ミミ、キリン ¥▲コウドウ、ススム、ユキチ ▲ユキチ ちきしょー、みんなかっこいいなあ。 ▲ススム そんなことないよ。 ▲ユキチ あーあ、オレも月行きたかった。 ▲コウドウ 二次もあるぜ。 ▲ユキチ いつのことやら。 ユリコ ユキチ、いいじゃない。 キリン そうですか。 ユリコ それに比べて、私たちは不幸だ。なんだあのエゴイズム。 アマネ そう。私好きだ。 ユリコ じゃ、ゆずったげよっか。 アマネ いい。 ▲ユキチ あー、ほんと、オレって役立たずだな。 ▲コウドウ そりゃ違う。 ▲ユキチ だって。 ▲コウドウ ダメだから落ちたんじゃない。どうにもならんときもある。 ミミ あれですね、みなさん。いけてますですね。 ユリコ じゃ、ミミちゃんにしようか、代表。 ミミ ええ、あれ無理です。 ユリコ 応援するよ組織票で。 アマネ 本気。 ユリコ うそうそ、冗談。 ▲ユキチ そういうもんすかね。 ユリコ いや、でも、実際いくらで動く。 キリン そんなかかんないんじゃない。一〇〇万くらいで。 ユリコ はいロマン一丁四〇〇万円なり。 アマネ 安いロマンは来週のバゲットだよ。 ミミ え、なんですか。 アマネ 犬も食わない。 ユリコ 食べたよ、ドイツ時代、貧乏だったもん。 アマネ 犬。 ユリコ ワン。 ▲ススム ユキチくんは挫折とかしらないから。 ▲ユキチ そんなことないっすよ。 ▲ススム 学校とか、試験とかで困ったことないでしょ。 ▲コウドウ オレが言うのもなんだけどさ、いい経験だよ。 ▲ユキチ オレはやっぱり、今行きたいす。 ▲コウドウ だよなあ。 ▲ユキチ かっこいいぜ、お前ら。 ▲コウドウ やめろよ気持ち悪いな。 ▲ススム うそぼくだいぶ嬉しかったんですけど。 ▲コウドウ 男に言われたって。 ▲ユキチ オレはもうだめですから。 キリン ユリコ、大丈夫。 ユリコ え? 何が。 キリン 顔青い。 ユリコ 生理だから。 ミミ トイレ行けますかね。 ▲ススム そろそろ。です。 ▲コウドウ じゃ、裁かれますか。 コウドウ、ススム、ユキチ、レストランに。 ¥アマネ、ユリコ、ミミ、キリン、コウドウ、ススム、ユキチ ススム よし、やろ。 ミミ あのわたしあれ行ってていいですか。 ユキチ がまんがまん。 ミミ あれなんです膀胱炎なりますから。 コウドウ とりあえず、投票終わるまで我慢してよ。最後の二人はちょっと、時間かかると思うし。 ススム ごめんね、じゃあ手早くいきます。ぼく、からか。まずぼくです。挙手どうぞ。(ユリコ、キリン、挙手。間)コウドウさん。(アマネ、挙手。間)アマネさん。(ミミ、コウドウ、ススム、ユキチ、挙手。間) アマネ なぜ。 間。 アマネ 聞いていいでしょ。ユキチ。 ユキチ オレちょっと、あの二人、かっこよかったからさ、お前もかっこいいけど。 ミミ なんか、同い年くらいですよね。ごめんなさい、ちょっと、あれです。トイレ行ってきていいですか。 アマネ あれって。 ミミ 秘密。 ミミ、退場。 ¥アマネ、ユリコ、キリン、コウドウ、ススム、ユキチ コウドウ お前は見つけてるだろ、なにかを。(ススム)こいつはまだだからさ。 ススム 自分じゃなかったらコウドウさんって決めてます。 間。 ススム 最後です、えーと、どうやって一致とりましょう。 ユキチ 最後だけ話にするか。 ユリコ いいじゃない、コウドウさんで。ススムくんよくがんばったよ。 間。 アマネ 私はコウドウさんよりススムさん。なんかやってくれそうな気がする。 ユリコ 何も出来ないよ。 アマネ かもしれない、わからない誰にも。 ススム 話し合いで決めますか。 キリン あと何分残ってるの。 ススム 一二分です。 キリン 一〇分は会議、それで決を採って、その決には全員一致で従う。 ユキチ 今回、ススムとコウドウさんに選挙権なしね、あたりまえだけど、意味ないから。 コウドウ じゃ、それで行こう。他に意見は?(間)ない。よし。 ユリコ ねえ、月移民の値段て、いくらだと思う? ススム は、値段ですか。単純計算ですけど、月までに旅費片道、向こうでの居住費、月面移民法に基づく手当五年分、あと、なんだろ。 ユキチ ワクワクとドキドキ。 ススム それプライスレスでしょ。うー、ざっと四千万円くらいですか。 コウドウ そんなもんだろうな。 ユリコ それは四千万で買えるもの? 間。 キリン ちょ、 ススム 意味がわからない。 ユキチ あ、いいっすよ、一人五〇〇万ですもんね。 アマネ ユキチ、目見ろ。 間。ミミ、入場するも場の雰囲気の変化におどろき、人に見つからないところで盗み聞きする感じになる。 ¥アマネ、ユリコ、キリン、コウドウ、ススム、ユキチ、ミミ ユキチ 金の問題じゃないすよ。 ユリコ 私コウドウさん押すよ、でコウドウさんに賛成の人、一人五〇〇万円て、どう? キリン やめて。 間。 ユリコ ほら、五〇〇万円(と小切手を書く)。 キリン こんなの違う、こんなのじゃない。 ユリコ (小切手を切り)受け取ってよ。 ミミ あの。残念ですけど、あれですよ、それ厳しいです、だってぜったい盗聴されてますもん。下手したら、どっかから見られてますよリアルタイムで。それくらいしてますよ、うちの。 間。 コウドウ ユキチ、おまえ、なんか面白いこと言え。 ユキチ え、じゃあ、えーと、あの、はい、おめでとうございました。 コウドウ お前、ほんとフリに弱いよね。 ユキチ 急すぎるんですよ。はい、すいません。 コウドウ オレさ、ほんと自分がイヤになっちゃうときってあんだけど、これ、いまだに全然月行く気よ。 間。 コウドウ できれば、もっとのんびり決めたかったな。 ミミ いや、これでいいんですよ、だって、そういうときもありますよ。私たち、ふつーですもん。 ススム そうだね。 間。 ススム 時間、なくなっちゃいそうです。 ユリコ お願い、ススムくんをとらないで。お願い。 ススム ねえ、ぼくのどこがそんなにいいのさ。 キリンとアマネ バカ。 ユリコ ばかばかばかばかバカ。(間。)私だってわかんないわよ。 間。 コウドウ いや、おれ、変な話、気持ちわかる。 ユキチ そっすよ、気持ち切り替えてこ、へいバッチこいやー、キョー! ミミ あはははははは。 キリン 時間だ。 ユキチ 最後だし、コウドウさん、なにか喋ります? コウドウ いまさら。 キリン ススムは。 ススム ぼくは、ぼくも、いやぼくは、ああ、どうしよ。あの、なんか、でもね。ユリコが好きだから、月に行くって、わかんないですよね。 間。 アマネ 時間です。最後の投票します。代表にしたい人間、選んでください。ススムさん。 間。 アマネ コウドウさん。 ススムとコウドウをのぞいた全員が挙手。 ススム こりゃ、もう、ちょっと、ごめんなさい。 ススム、退場。追ってユリコも退場。間。 ¥アマネ、キリン、コウドウ、ユキチ、ミミ コウドウ うわー、素直に喜べねー。 アマネ じゃー、コウドウさん、いってらっしゃいー。 拍手。全員。 コウドウ でも、でも、うれしー。みんな、ありがとう、ほんとありがとう。 アマネ パンも食べろ。 コウドウ たまには。 ユキチ 彼女はオレに任せてください。 コウドウ ふざけんな。 キリン エレベーターガールの必要、広めといて。 コウドウ ああ、善処します。 ミミ あれです、なんか、いられてよかったですここに。 コウドウ ぜんぜん賢いのなキミ本当は。 ミミ 口ほどにもないですよ。 コウドウ ありがとう。 間。 アマネ ススムさんはこれでいいと思う。 キリン でも、ユリコさんかわいそう。 アマネ そうか。 キリン もったいないよ。 ユキチ いやー、ススムいいじゃん。 キリン 絶対。別にいいけど。コウドウさんはさ、彼女どうするんですか。 コウドウ どうするんだろうな。 キリン いればよかたのに、彼女。 アマネ 変わらないよ。 ススム、ユリコ、入場。間。 コウドウ いってきます。 ススム 好きにしてください。 ユリコ ありがとうございました。 コウドウ お前のためじゃねえから。 ユリコ ありがとう、本当に。 コウドウ 聞けよ。 キリン ま、じゃ、ごはんにしましょ。 ユキチ ソースタービン。 キリン ソーアムアイ。 アマネ まあ、決まって良かった。 キリン ね。 ハナロウ、入場。 このテキストは途中までです。最後まで読みたい方はメールを下さい。 こちらから折り返しメールにてWordの添付ファイルを送らせていただきます。 |
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