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seriseri.comJikando → past works 10 May 2003
演劇ユニット時間堂
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●演劇ユニット時間堂4回目「友達の賞味期限」
「友達の賞味期限」上演台本

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女性 3人 60分

ミサキ(20)female会社員

ケイ(20)female大学生

ハルカ(20)femaleパートタイム


序幕

 舞台の上にミサキ、ケイ、ハルカ。三人がそれぞれ自分の生い立ちを語る。

ハルカ  あたし、二組のハルカっていうんだけど
ミサキ  あたし、ミサキ
ケイ   来ないでよ、なんか用
ハルカ  あ、うん、別に用ってほどでもないんだけど
ミサキ  新しい曲作ったんだ、一緒に歌わないかなと思って

 三人、笑う。愛想笑い、苦笑いが、やがて胸一杯の笑いになって、暗転。


現在一
 ミサキの部屋。パソコンが一台、それに数台のAV機材。ミサキはパソコンに向かい、ケイは座って、ハルカはねっころがりながら、それぞれ伝票の整理をしている。ハルカはあきらかに飽きている。

ケイ   ねえ、どれくらい終わった
ミサキ  半分くらい、かな
ケイ   ハルカは
ハルカ  んっと、八行目
ケイ   いや、そうじゃなくてさ。私が聞きたいのは
ハルカ  あたし足してたっけ、引いてたっけ
ケイ   知らないよそんな事
ハルカ  わかんなくなっちゃったじゃん、もう
ケイ   私のせいじゃありません
ハルカ  ケイがいちいち話し掛けるからでしょ
ケイ   私は話しながらでもできてるよ
ハルカ  ムカツくなあ、もう、バカ
ケイ   はいはい、バカですよ、バカバカ
ハルカ  あーもう、ホントムカツく。おまえ話かけてくんな
ケイ   じゃあ、そんなハルカちゃんに良い事を教えてあげましょう
ハルカ  いい
ケイ   数字の三桁目の次に、ちっちゃい点が打ってあるでしょう。その点はね、次の桁は、千の位ですよーって教えてくれてるんだ。で、その次の点があるでしょ。その点はね、次の桁は百万の位なんだよーって教えてくれてるんだね ハルカ  ホントだ。すごいじゃん、ケイすごいね
ケイ   いや。常識だからね
ハルカ  ケイ、○○に新しい食べ放題できたの知ってる?
ケイ   しらない。なんの食べ放題?
ハルカ  この前洋ちゃんと行ったんだけどさ、○○の食べ放題なんだ
ケイ   ふーん

 以後、ハルカ○○食べ放題について熱く語る。不審に思ったケイがハルカを見ると、雑誌を見ながら解説しているハルカに気づく。近寄り、雑誌を奪うケイ。

ケイ   何を見ているのかな?
ハルカ  いやーん、見ないで、エッチ
ケイ   まず座れ。手を動かせ、手を。そんなんだからいつまでたっても進まないんでしょうが
ハルカ  ちゃんとやってるよぉ。ねえ、ミサキ
ミサキ  うん。そうだね
ハルカ  あとどれくらいで終わるの
ミサキ  あと、三時間くらいかな
ハルカ  え、そんなに
ミサキ  三人で頑張っているからこその時間だよ
ケイ   二人でしょ
ハルカ  あんた、三時間後っていったら一時だよ。真夜中だよ
ミサキ  うん、そうだね。ありがとう
ケイ   ミサキ、先に録っちゃおうよ
ミサキ  これを終わらせたらね
ケイ   間に合わなくなるよ
ミサキ  大丈夫だって。一時に終わったとしても、郵便局がはじまるまで八時間もあるもの
ケイ   八時間で終わるか
ミサキ  終わるよ。六時間でも
ハルカ  このあいだのCDどこ?
ミサキ  そこらへんにあるでしょ。だって、二人にテープも渡してあるし、練習してきてるでしょ
ケイ   そりゃあね
ハルカ  やってないよー
ミサキ  嘘
ハルカ  大丈夫、聞いて覚えてるから
ミサキ  そう言っていっつもはずすくせに
ハルカ  だって気分でしょ。大事なのは気持ちだよ。ないなー
ケイ   ほら。これでも六時間で終わるか

 ハルカ、CDが見つからず、窓を開ける。

ミサキ  平気だって。ハルカ、窓開けないでよ、風で飛んじゃうから
ハルカ  へーきへーき
ミサキ  平気じゃないよ
ケイ   私さ、歌詞をね、いじりたいんだよ
ミサキ  ああ、そういえばそんな事言ってたね
ケイ   だから、出来れば三人で歌いながら考えたいんだよね
ミサキ  そんな。一人でやってきなさいよ
ケイ   もちろん、考えてきたんだよ
ミサキ  論文とかテストとか、忙しいのも分かるけどさ
ケイ   それは、関係ないよ
ミサキ  わたし、今度の良いと思うけどなあ
ケイ   私も悪いとは思わないんだけど
ミサキ  振る振られるの下りなんか、耳に痛いね
ケイ   それ、誉めてるの
ミサキ  もちろん。振られたてには心に響く
ハルカ  ふるふるふる。ふるよ。ふりまくるよ
ケイ   誰を
ハルカ  雨。こりゃあやばいね、ドザーとくるよ、みなよ、この雲、すごい風。ドビュー、グワー、あははははは。町中水浸し
ケイ   おまえに降れ
ハルカ  それいいね
ケイ   雨降ったら録音できないでしょ、ノイズが入っちゃって
ハルカ  あ、そっか。でも、雨良いよ。ひさしぶりだよ
ケイ   おまえが降れよ
ハルカ  良いこと言うね。あたしが降ろうか。町中あたしだらけ。あははは
ケイ   ミサキ、どうする
ミサキ  天気予報では晴れるって言ってたのに
ケイ   そんな事言っても仕方がないじゃない
ミサキ  わかってる
ケイ   まずいよ。やろう
ミサキ  私はこれを終わらせないと、レコーディングなんて手につかないもの。最初に言ったじゃない、二人で録ってきてって
ハルカ  やだ
ケイ   あんたさ、やる気あるの
ミサキ  あるよ。あるからテープも渡したし、符にもおこしたし。二人で録ってきてくれたら、後で自分のミックスするから
ケイ   そんなやり方で良いものが出来ると思ってるの
ミサキ  ほかにどうしろって言うのよ
ケイ   三人でやっちゃおうよ、今
ミサキ  これやっちゃわないと手につかないよ
ハルカ  そうだよ、やることやっちゃおうよ
ケ&ミ  そうだよ
ハルカ  今年はまだやってないんだし
ケイ   そういえばそうだ
ハルカ  今やらないと来年まで出来ないよ
ケイ   何が
ハルカ  お花見でしょう。この勢いで嵐になったら桜ぜんぶ散っちゃうよ
ケイ   おまえが散れ
ハルカ  あはは、あたし散っちゃうのか。ひらひらひら。そういうのも美しくていいと思う。でも、お花見でもしてさ、それでそれからやればいいじゃん。録音。なんていうのかね、楽しくお花見するくらいの余裕があったほうが、良い歌になるんではないかね
ケイ   その頃には録音できなくなってるよ
ハルカ  あ

 沈黙

ハルカ  ごめんね。あたし親しい人と一緒にいると、気をつかえなくなっちゃうんだよね。だから人の話し聞かなかったりさ、しちゃうんだよねえ

 ハルカ、でかける。退場。

ミサキ  うん、わかるよ、あたしもそういうところあるし。いないよ
ケイ   楽しそうで良いよね、あいつ

 のこされた二人、力なく笑って、抱き合う。


過去一


 ハルカが入ってくる。

ハルカ  ぎりぎりセーフ
ケイ   十分も遅れてるよ
ハルカ  聞いて聞いて、ジュンコとカオルもやりたいって
ケイ   おお、そうなんだ
ミサキ  すごいよ。十人越えたよ
ケイ   石坂くんもやるんでしょ
ミサキ  全部で十二人だ
ハルカ  男の子が三人もいる
ケイ   混声の方が厚みが出るからね
ミサキ  ね、バリエーションつくね
ハルカ  バリエーション増えまくりだよ
ミサキ  石坂くんも、歌うまいだけじゃないしね
ハルカ  レモンとイチゴにブルーハワイを足したのね。おまけにアズキまで乗せたらもう、まずいの
ケイ   氷の話かい
ハルカ  それであたし思ったんだけど、あれにはミルクが足りてなかったんだよね。そうすれば美味しくいただけたんだよ
ケイ   凍りつけ
ハルカ  それいいね、すずしげで。あたし暑苦しいよね
ケイ   良くわかってるじゃない
ミサキ  風邪ひいて懲りたんじゃないの
ハルカ  あれは一気食いしようとか言ったのがまずかったの。ケイが変なこと言うからだよ
ケイ   氷で痩せるつもりならシロップぬきなよ
ハルカ  わかってるよバカ
ミサキ  ああ、すごいすごい
ケイ   きたきた
ミサキ  ガンガンするよ
ハルカ  また風邪
ミサキ  タララタラランタラン
ハルカ  風邪ひくと練習できない。声も出ない。歌を続けるなら、もう風邪は禁止
ケイ   まともな事言うじゃん。熱でもあるんじゃないの
ハルカ  むかつくなあ、なんでそういう言い方するの
ケイ   えらいえらい、すごい。気付かなかった
ハルカ  もう風邪はひかない。約束
ケイ   おう
ミサキ  タララタラランタラン
ケイ   ミサキちゃーん、聞いてますか。根暗。(以後罵倒をいくつか)聞いてないね
ハルカ  ねえねえ、早く行こうよ、ミサキも

 ハルカ退場

ミサキ  タララン、たたん、よし


現在二


ミサキ  悪いとは、思ってるんだ。でも仕方がないよ。頼まれたら断れないし
ケイ   何度も聞いたよ。やろう
ミサキ  うん。ごめん
ケイ   悪いって思ってるの
ミサキ  うん
ケイ   思う必要、ないよ。ミサキのためにやってるわけじゃないし
ミサキ  うん
ケイ   ほら終わった。次のは
ミサキ  早いね
ケイ   嫌いなのと得意なのとは違うからね
ミサキ  好きだけど苦手なものもあるしね
ケイ   まだこんだけあるの
ミサキ  好きだけど苦手なんだよね
ケイ   サクサクやってるじゃない
ミサキ  石坂はどうだったのかな
ケイ   悩み?
ミサキ  悩んでいるわけじゃないけど。ケイはどうだったの
ケイ   どうって
ミサキ  昔好きだったんでしょ?
ケイ   昔のことは忘れた
ミサキ  またそんな事言っちゃって
ケイ   要点を話しなさいよ
ミサキ  あたしは、石坂が苦手だったんだなって。最近思うんだ
ケイ   どういう事?
ミサキ  つまりね。わたしは石坂が好きだし、一緒にいたいと思うんだ。でも、実際は仕事もあるし、音楽もやってるし、会う時間だってまともにとれないでしょう。そうすると、わかるんだよね、相手がいらいらするのが。もともとわたしが告白したじゃない
ケイ   そうなの?
ミサキ  そうだよ。それで、幸い石坂もわたしが好きだったみたいで、だらだらと続いてきたんだけど。でもわたしが思うほど、石坂はわたしを理解してくれていなかったし、今のわたしとの関係に満足していなかったみたい。ずっと前から。石坂が音楽をやめた理由も、多分それ
ケイ   振られたのは、結果に過ぎないと
ミサキ  うん
ケイ   でも好きだったんでしょ
ミサキ  うん
ケイ   あー、やっかいだね、恋愛って。私にはわからんよ
ミサキ  ふふふ
ケイ   それがわかれば、もうちょっと納得いくものが書けるのかもね
ミサキ  もうちょっと納得いく曲が出来るのかもね
ケ&ミ  一生無理だよ。あはは

 ミサキ、石坂の真似を始める

ミサキ  お前気狂ってるんじゃないか
ケイ   似てる似てる
ミサキ  へったくそだなあ、死ね
ケイ   そっくりすぎ

 他にも石坂の真似を続けるミサキ。二人は伝票を整理し続けている。

ミサキ  別れるぞ、マジで
ケイ   ああ、言ってるねえ
ミサキ  おまえが思っているほど、俺は大人じゃないし、俺が思っているほど、おまえは俺が好きじゃない。別れたときに言われた
ケイ   そっかあ
ミサキ  歌うたっちゃったよ
ケイ   あー。歌うよねえ
ミサキ  わたしは学んだよ。人間関係なんか壊すの簡単だね
ケイ   はははは。何を今更
ミサキ  どうして笑うの
ケイ   おかしいもの。知らないの? だから三人になったんだよ
ミサキ  あ、そうか
ケイ   私たち三人は似ても似つかないけど、唯一共通点があるとすれば、それは究極的に自己中心的だって事
ミサキ  偉そうだよね、ケイ
ケイ   そうだね。偉いもん
ミサキ  開き直ってばっかりでしょ
ケイ   そうだね
ミサキ  とくだよね。ケイもハルカも
ケイ   一緒にすんなって。私はあんなに無分別でも無理解でもない
ミサキ  伊勢崎町で録ってきてよ。石坂がいるから。全部頼んでおいたから
ケイ   そうきたか
ミサキ  ケイならわかってくれるでしょ。今つくらなかったらもうできないよ。ケイならわかってくれるでしょ
ケイ   ハルカじゃわからないの
ミサキ  あの子は純粋だから
ケイ   純粋じゃない。ただのバカだよ
ミサキ  またそんな事言って
ケイ   考えさせて。ちょっと

 ケイ、出ていこうとする。

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